記憶というのは、なかなか厄介なものだ。
記憶力がなければ未来を目指すことなどないので、もちろん行動不能になるが、記憶力がありすぎれば過去にとらわれすぎてしまい、やはり行動不能となる。
要するに、記憶力はバランスが大事なのだ。
ほどよく覚えてほどよく忘れるのがよい。
とはいえ、忘れたい記憶ほど忘れられず、覚えておきたい記憶ほど覚えられないのが、なんとも不思議だ。
だからこそ、過去にとらわれすぎて動けなくなる人もいるのだろう。
未来へ進みたいと思うからこそ、動けない自分に焦ったり嫌気がさしてしまう。
ならばいっそのこと、一度歩みを止めてもいいのではないだろうか。
未来を追わず、過去を振り返らず、現在だけに集中できるように、今この瞬間に止まってみる時間が必要なのかもしれない。
何もしたくなければ何もしなくていい。
とにかく、好きなこと、やりたいことだけをして、今を充実させよう。
誰の役にも立っていないような、ただただ生きる時間は他者からみれば虚しい時間かもしれないが、その時間が充電期間となり、これから先の人生の活動の元となる。
その期間を終えればきっと、嫌な過去も不安な未来もその充電期間さえも、忘れたいけど忘れたくないあなたの大切な人生の一部となって色を添えるはずだ。