「倉廩満ちて礼節を知り、衣食足りて栄辱を知る」という言葉がある。
穀物倉庫に食糧が満ちていれば、人は安心して順番を守るし、衣食が足りて初めて、物の優劣や自身のステータスを気にするということだろう。
つまり、礼儀や節度、さらにはプライドも無いような恥知らずであっても、実は毎日不安で不安で夜も眠れないような人たちかもしれないのだ。
毎日生きるか死ぬかというような状況では、当然、恥も外聞も関係ないだろう。
とはいえ自分は、たとえ己が飢え、凍えようとも、他者を優先できるような人でありたいものだと思っている。
そして、自らに余裕ができたなら、この世からそんな恥知らずを少しでも無くしていきたい。
もちろん、一度窮すれば自分でも自分が制御出来なくなるほど、取り乱してしまうかもしれない。
だが、自分が他者に比べて、恵まれている状況であるなら、品や誇りを失ったかのような愚行は絶対に犯したくない。
一見経済的に余裕があるのにそんな愚行を犯すのは、結局は心に余裕がないからだ。
他者と比べることをやめ、リラックスすることで心に余裕が生まれると思う。
たとえ人に罵られる事があったとしても、誇りさえ失っていなければ、己の自信を頼りに何度でも立ち上がる事ができるのだ。
今もし恥知らずになってしまっている人でも、経済的な物だけでなく、渇いた心も潤していくことで、己の言動に恥じらいを覚えるようになれば、そこから人間としての誇りある生活を始められると思う。
恥を知り、仁義を通し、徳を積み、本分を果たし、誇りは高く、和を尊び、強きに媚びず、弱きを侮らず、罪を憎みて人は愛す。
こんな人生を歩みたい。